一部代位弁済による移転登記がされている根抵当権について、残債権の債権譲渡による移転登記の登録免許税はどのように計算するのでしょうか。想定しづらいので具体的ケースで説明します。
【具体例】
- A銀行の極度額1000万円の根抵当権が設定されている。(確定済み)
- B保証協会が一部代位弁済し、A銀行からB信保へ根抵当権の一部移転登記がなされている。
- A銀行は代位弁済後の残債権について、Xに債権譲渡した。
この場合のA銀行からXへの根抵当権移転登記の登録免許税はいくらとなるでしょうか。
<ケース1:一部代位弁済の額と、譲渡債権額の合計が極度額に満たない場合>
極度額:1000万円
一部代位弁済額:600万円
譲渡債権額:300万円の場合
譲渡債権額の300万円を課税標準として
300万円 × 2/1000 = 6000円
<ケース2:一部代位弁済の額と、譲渡債権額が極度額を超える場合>
極度額:1000万円
一部代位弁済額:600万円
譲渡債権額:800万円の場合
1000万円-600万円=400万円と差額:400万円を課税標準として
400万円 × 2/1000 = 8000円
この根抵当権には400万円分の力しか残ってない、と考える。
<ケース3:そもそもの一部代位弁済の額が極度額を超える場合>
極度額:1000万円
一部代位弁済額:1200万円
譲渡債権額:300万円の場合
不動産の件数×1500円
そもそもこの根抵当権には力(優先弁済効)が残ってない抜け殻、と考える。(参照:登記研究681号)
※ただし、筆者の経験上、上記以外の取り扱いでも通った登記所があるので、念のため管轄登記所に確認するころをお勧めします。