監査等委員会設置会社に移行した場合、それを登記する必要があります。
ポイントとして、移行の効力が発生すると、いったん、役員全員が退任となるので、次の役員変更登記を申請する必要があります。
〈監査等委員でない取締役〉
移行後も引き続き取締役ならば「重任」
〈監査等委員である取締役〉
いったん退任して、新規に「就任」
〈監査役〉
すべて「退任」
辞任届は要りません
具体的な登記申請書の記載事項の一例として、次のようになります。
【登記の事由】
監査等委員会設置会社の定め設定
監査役設置会社の定め廃止
監査役会設置会社の定め廃止
取締役及び代表取締役の変更
監査等委員である取締役及び取締役(社外取締役)の就任
監査役及び監査役(社外監査役)の退任
その他に
監査役、監査役会及び社外監査役がいなくなるので、それらについて特別の規定の登記がある場合
役員等の会社に対する責任の免除に関する規定変更
非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定変更
また、株主総会で
会計監査人の変更重要な業務執行の決定の取締役へ委任についての定め設定
が付議された場合には、それらについて登記申請が必要です。
【登記すべき事項】
「監査役設置会社に関する事項」
「原因年月日」年月日廃止
「監査役会設置会社に関する事項」
「原因年月日」年月日廃止
「監査等委員会設置会社に関する事項」
「原因年月日」年月日設定
「役員に関する事項」
「資格」取締役・監査等委員
「氏名」××
「原因年月日」年月日就任
「役員に関する事項」
「資格」取締役・監査等委員(社外取締役)
「氏名」××
「原因年月日」年月日就任
その他「役員関する事項」については省略します。
【登録免許税】
登録免許税の区分として
登録免許税法別表第一24(ワ):3万円
監査等委員会設置会社の定め設定
監査役会設置会社の定め廃止
同号(ツ):3万円
監査役設置会社の定め廃止
同号(カ):1~3万円(資本金の額による)
取締役及び代表取締役の変更
監査等委員である取締役及び取締役(社外取締役)の就任
監査役及び監査役(社外監査役)の退任
同号(ツ)
重要な業務執行の決定の取締役へ委任についての定め設定
役員等の会社に対する責任の免除に関する規定変更
非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定変更
となり、7~9万円です。
【添付書類】
・株主総会議事録
・取締役会議事録
は最低でも必要で、あとは役員人事などにより
・就任承諾書
・印鑑証明書
・本人確認証明書
など変わります。
※1
社外取締役の社外性についての添付書類について、管轄法務局から『原則:本人申請の場合は、議事録の内容から不要であるが、司法書士・弁護士等の代理人申請の場合には、「概念的に必要」』との連絡を受け、委任状への補正を要請されました。
正直、ちょっと???でした。
※2
今回一連の「調査/レポート」での「監査等委員会設置会社への移行」では、筆者の理念のとおり「分かりやすく」を最優先として書きました。
そのため、他の会社法関連条文や各論について省略、説明不足の部分がありますがこれは、会社側の実務の視点から、大枠を理解してもらうためものであり、学問的な法的記述を目的にしたものではないためです。