根抵当権を確定させる方法

金融機関が債権譲渡により、不良債権をしたい
・譲渡する債権の担保権は「未確定の」根抵当権
・根抵当権を確定させるために、「確定通知」を打とうとするが
1 債務者(担保提供者)が確定通知を受領拒絶
2 債務者(担保提供者)が行方不明
3 債務者(担保提供者)が死亡して相続人がいない:相続人不存在(全員相続放棄)
1~3の場合、どのようにすればよいでしょうか。
1の場合は ”根抵当権元本確定請求書を受け取らない場合” のとおりです。
2の場合には、次の2通り方法があります。

【対処方法】

① 意思表示の公示送達
② 競売申立&取下

① の方法を取る場合には ”根抵当権の元本確定請求” のとおりです。
② の解説をします。
自分の根抵当権で差し押さえをした場合は、その後取下げをしても根抵当権は確定します。
参照:”税務署の差押と根抵当権の確定” 
 
 これを利用します。
競売を申立てる?費用がかかるのでは、と思います。競売の申立費用は、請求債権額の0.4%です。
 つまり、1000万円を貸しているのであれば4万円、1億円を貸しているのであれば40万円が必要となります。債権額が多いとなかなかの費用です。
40万円が必要となります。債権額が多いとなかなかの費用です。

 では例えば、申立債権額を「一部請求」にすればどうでしょう。
一部請求?
どういうことかといいますと、例えば1000万円貸していても、「そのうち25万円だけ返せ」と請求をします。
すると請求している債権額は25万円なので
25万円 × 4/1000 = 1000円
費用は1000円で済みます。
1000万円貸していて、請求は25万円?と思いますが、いくら請求するのかは、貸している金額:1000万円の上限額を越えなければ自由ですし、債権の一部免除・放棄と考えれば、債務者にも利益があり、ありがたいことです。
裁判所手続きでよくある話です。
 
 また競売申立ては、いつでも取下げでき、以後それに縛られるわけではありませんので、一旦取下げて、のちにMAX1000万円で再度競売申立てすることもできます。
予定どおり、差押の登記がされたら、すぐに競売申立てを取り下げます。
取下げても確定の効果は続いています。そのため債権譲渡しただけで根抵当権も移転します。
その後、再度競売を申立てるかどうかは、新債権者次第です。

 あるいは債権の買主も譲渡後、早期に競売を申立てるつもりであったならば、取り下げる必要はなく競売申立ての承継手続きをすればよいだけです。
 3の場合は、上記②の「競売申立&取下」か、現在債権者にて、相続人不存在による相続財産管理人を裁判所に申立て、相続財産管理人が選任されたら、その相続財産管理人に対し、根抵当権確定請求通知を打つ方法です。

これは債権譲渡をする前提として

  • セラーの裁判所への申立
  • 相続財産管理人の選任
  • その相続財産管理人への確定通知書送付

と手続きが必要で時間がかかります。
債権を譲渡するなどで、根抵当権の確定が必要な場合は、②の「競売申立&取下」が時間と費用がかからず有効な手段の一つと考えれらます。

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