レジャーホテルの不動産評価

 先日、知り合いのコンサルタント会社の方からレジャーホテル、いわゆるラブホテルの不動産評価(担保物件がラブホテルの債権評価)のモデルがないか問い合わせがありました。直近でラブホテルのデューデリの仕事があることに驚きましたし、ということはラブホテルが投資対象として流通しているということでしょう。足元でラブホテルがどのくらいの利回りで取引されているのか、また融資が付いてくるのかなど分かりませんが、近時の不動産価格の上昇とともに投資対象のすそ野が、ラブホテルにも広がっているのでしょう。

 そこで投資物件としてのラブホテルの不動産評価とはどのようなものなのか、筆者がラブホテルの評価や自己競落していたのは5~10年ほど前のことなので、その頃と考え方、手法などが変化している可能性がありますが基本的なところを解説します。

まず前提知識として、ラブホテルには
1 風俗営業法上の店舗型性風俗特殊営業
2 上記1に該当しない業態
の2種類が存在します。1のラブホテルは風俗営業法上の営業にあたり、警察(公安委員会)への届出をしています。

2のラブホテルは、1の警察への風営法上の届出をせず、旅館業の許可(及び飲食提供するのであれば保健所の食品衛生法上の許可)を受け、レジャーホテル、ファッションホテル、カップルホテルなどと称していますが、営業形態や設備などが1のラブホテルと同じホテルをいいます。警察庁が把握している全国の1のラブホテルの軒数は約7000件ですが、実際には2のラブホテルがその5倍に当たる3万5000軒が存在しているとされています。
 
 ではなぜ2のホテルは1の風俗営業法の届出を警察にしないのでしょうか。
それは現状、1のラブホテル営業が認められる地域はなく、新規の開始届出は受理されないからです。

評価的には、
1 今までの実績ベースの売上、運営コストを検証
2 改装工事をしたニューアルオープン後の売上を推定
をします。参考に、こちらは筆者オリジナルの評価シートです。
改装工事なしのリニューアルオープンをしない場合には、実績をベースに売上を推定します。売上の計算は
客室数×客室単価×回転数を休憩・宿泊、平日・休日
に分けて算出します。ラブホは改装工事をしてリニューアルオープンをすると実績値より売上が期待できる場合がありますので、事前の調査、シュミュレーションでどのくらい費用をかけて、どこをどのように改装工事するかリニューアル計画も考慮します。

 あとは、運営コストを差し引いてNOIを算出し、期待利回りで割り戻し収益還元価格を算出します。
運営コストについては資料が揃っていれば、人件費、水道高熱費、リネン費、宣伝広告費、リース費用、消耗品費、固都税などの実績値を手掛かりに算定します。しかし評価するにあたりほとんどの場合、必要な情報が十分に揃っていないので、評価シートでは、売上原価率:○○%、販管費率:○○%というような算出方法を採用しています。情報が不足している中で、このような推定値を決める経験、勘は重要となってきます。期待利回りはそのときのマーケットが決めますのでマーケット調査をします。

 これが一通りのレジャーホテルの不動産評価方法です。

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