リスクの種類

 

 

「すべての卵を1つのかごに入れてはいけない。」といわれるように、合理的な投資家は持っているお金を1種類の資産のみに投資するのではなく、違う種類の資産、複数銘柄の株式、国内と外国の債券あるいは代替的手段として不動産などに投資するいわゆる「分散投資をしています。この分散投資することによって取り除くことができるリスクを「個別リスク」といいます。1種類の株式しか持っていない投資家は、その株式の発行体である個別の企業が対面するあらゆるリスクを負担することとなります。

では投資対象を分散すればするほど、個別リスクは軽減していき、最後はリスクゼロのリスクフリーの状態になるのでしょうか。

それではA社株式のみを保有している投資家が、分散投資をするためにB社株式を買い、C社式も買い、追加でD社株も買いました。これを繰り返し最終的には東証1部上場の全ての銘柄を買ったとしましょう。この投資家は十分に分散投資されたポートフォリオを持つことに成功します。このポートフォリオは日経平均とほぼ連動し、同じ動きをすることになります。この投資家はリスクフリーでしょうか。いいえ、そうではありません。この投資家に残されているリスクは、対個別の企業ではなく、市場で取引されているからこそ発生するリスクであり、すべての企業に影響を与える経済全体についての不確実な要素または予測が難しくコントロールできない外部的な要因、例えばテロ、戦争または自然災害などが原因で、市場が極めて不安定、不確実となり、数年前のリーマンショックのように市場全体がクラッシュしたときに顕在化するようなリスクです。このような、いかに分散投資しても避けることができないリスクを「市場リスク」といいます。つまりこの投資家のリスクは市場リスクだけが問題となります。

それでは次にこの投資家が気にしていることとは何でしょうか。それは自分のポートフォリオを構成する個別の株式が、作成したポートフォリオのリスクに与える影響及びポートフォリオのリスクについてです。それを知るためには、個別の株式を単独で保有したときの個別リスクを計測しても無意味です。やはりポートフォリオ全体また直接的に市場リスクを計らなくては意味がないです。これを表す数字とし「ベータ値」(β)というものがあります。このベータ値を用いればポートフォリオのリスクを数値として認識できます。

このベータ値の説明、計測には少々手間がかかるため、機会があれば次回以降で言及したいと思います。

 

また上記のリスクの概念は理論的なものであり、現場の実務的なリスクの概念を包含するものでないと筆者は考えています。企業を取り巻く経済的環境がグローバル化、IT化し加速的に変化している時代のビジネスマンから「なんだそのリスクの把握は」、というご意見もあるかと思うので、現在よく議論されているリスクの種類について列記したいと思います。

 

・カントリーリスク(関係国の政治、法律、環境の変化)

・情報リスク(システム不具合、情報の漏えい、不正アクセス)

・為替リスク

・製品リスク(材料、燃料等の調達事情の変化)

・社内リスク(セクハラ、パワハラ、労働問題)

・法務リスク(訴訟、業務関連法令の改正)

・インフレリスク

・信用リスク

・流動性リスク

 

などがあり、上記のようなリスク管理についても十分な理解と備えが必要な時代となっています。


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