債権者が任意売却(任売)に応じない場合

 

 

 

 担保権がついている不動産を、所有者(債務者)が売却し、その売却代金で弁済しようとしているのですが、債権者の要求する弁済額まで売却金額が届かないため担保解除してもらえず、売買が成立しない状況です。

このような場合、売買を成立させるためにはどのようにすればよいでしょうか。

 単なる法的手続きの紹介レベルならば「抵当権消滅請求」(旧名称「滌除(てきじょ)」)いうのがあります、というのが一般的な答えでしょう。しかし抵当権消滅請求は現実的ではありません。第一にこれをやると債権者が怒ります。債権者を怒らせてしまっては担保が外れないので売買が成立しません。

それに関係している不動産業者として金融機関からの印象が悪くなり、今後のお付き合いにも支障が出る可能性もあります。また法律に基づいた手続きが必要なため、弁護士に意見を聞いて手続きを頼んだり、不動産評価を第三者に依頼したりと時間と費用がかかります。

前提として、競売にかかっているか否か、かかっているなら売却基準価額はもう出ているのか、債権者と交渉の余地はあるか、などで変わってきますが以下のような考え方、対応方法があります。

あくまで「任意」の売却なので、当事者の合意:話し合いにより債権者に担保解除を同意してもらう以外はありません。まず、不動産業者ではなかなか気付かないのですが、債権者の考え方として「売買金額」と「弁済額」は違うことの理解が必要です。

極端にいうと、債権者は担保不動産を誰にいくらで売却しようが貸したお金が返ってくればよいのです。興味があるのは「売買金額」ではなく「弁済額」です。

具体例として担保不動産の買付金額が1000万円、債権者の弁済要求額が1200万円で200万円の隔たりがあるケースを想定します。このような場合、足りない200万円は保証人や親族などの協力者に現金で200万円用意してもらい、合計して1200万円を弁済することを債権者に提案できますし、あるいは足りない200万円については、1000万円での担保不動産売却後、例えば月々3万円の66回分割払い(5~6年払い)にできないかなど交渉することもできるでしょう。

このように売買金額を上げなくても弁済額を増やす方法はあります。不動産売却による弁済プラス残債務の返済を合わせれば、債権者の満足する弁済額に達する場合もあります。つまり売買を成立させる正攻法は、「債権者の納得する売却後の返済計画をきちっと立てること」に尽きます。

他には債権譲渡を利用した方法です。現在の債権者に売却後の返済計画を提案しても、確実性がない、長期間では飲めない、と認めてもらえない場合があります。そのような場合には、事前に返済計画を飲んでもらえるサービサーと組んで、その債権を現在の債権者から買取ってきてもらいます。そして新債権者:サービサーの下、不動産売却し、残債務は事前の打ち合わせ通りサービサーに返済していきます。あるいはサービサーが、現在の債権者と不動産売却後の無担保となった残債務を引き取れないか事前に交渉します。(もともと競売での担保不動産処分後の無担保残債権はサービサーに債権売却する、という金融機関も多いです。)協議がまとまれば、現在の債権者の下、不動産を売却し事前の打ち合わせ通り残債務はサービサーに債権譲渡され、返済計画の通り返済していきます。

また債権譲渡を利用した方法として、1番抵当権者でなくて後順位抵当権者が任売に応じていない場合には、サービサーと事前に抹消金額も決めておき、その上でサービサーに後順位抵当権者から債権を買ってきてもらう、という手法も考えられます。

以上のような考え方、方法はありますが、債権債務の問題は同じ事案はなくケースバイケースなので、どのような方法とタイミングがベストなのか状況判断が重要となってきます。

 

 


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